肺癌とイレッサ

肺癌とイレッサ

「イレッサ」という薬の名前を耳にしたことがあるでしょうか?肺癌患者さんならあるという人も多いでしょうし、そうでない人でも聞いた覚えがあるという人は多いかもしれません。イレッサは社会問題として世間を騒がせたこともありますので、その際の報道の内容などを記憶している人もいることと思います。

イレッサ

イレッサは、肺癌の治療薬の名前です。アメリカのアストラゼネカ株式会社が開発したもので、発表当時には肺癌に対し効果が大きく、なおかつ副作用の少ない夢の新薬として注目をされていました。腫瘍に対する薬の効果を評価する値に、奏効率というものがあります。薬の投与によって腫瘍が50パーセント以下に縮小した患者さんの割合を指しすのが奏効率なのですが、治験などのデータではイレッサは肺癌患者さんへの高い奏効率を記録しており、まさに肺癌の夢の新薬として世界に発表されたのです。

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イレッサのメリット

イレッサは経口薬であることから手軽に使えること、さらにスーパーレスポンダーと呼ばれる劇的な治療効果があわられる患者さんがいることから肺癌治療の現場で急速に浸透していった薬です。肺癌のステージが進行し手術による治療が最適ではない患者さんや抗がん剤で効果を発揮できない患者さんにとっては、まさに最期の頼みの綱ともなる存在でした。

イレッサの副作用

ところが、副作用が少ないとされていたイレッサは副作用によって、間質性肺炎を引き起こすことが明らかになり、副作用による死亡が相次ぎ問題となりました。間質性肺炎とは、肺を形成する肺胞のすきまで炎症が起こる症状ですが、イレッサの副作用によって発症する場合には症状が急速に進行するケースが多く、この副作用によって多くの肺癌患者が命を落とすことになったのです。もちろん、薬である以上は、薬の効果と薬による副作用のリスクをよく検討したうえで使用する価値があるかを判断することになります。イレッサの場合には、決して低くない副作用のリスクと、その一方で高い効果との間で医療の現場も患者さん自身も揺れ動くこととなりました。

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イレッサ問題

イレッサをめぐっては販売元との訴訟を起こす患者さんもいて、大きな社会問題となりました。これがイレッサ問題です。イレッサは現在、肺癌治療の第一線からは退いていますが、他の治療の選択肢のない患者さんに対しては、現在も投与が続けられています。ただ、イレッサの投与の際には患者さんの状態を検査し観察し、間質性肺炎を起こすリスクがないかどうかを慎重に検討することで副作用のリスクは最大限抑えられるようになってきました。他に治療法がなく、副作用のリスクを承知の上でイレッサにかけたいということで投与を希望する患者さんもいます。イレッサの肺癌への効果はがんの状態にもよりますが依然高く、過去の副作用による死亡の教訓を生かして医療の現場で使用が続けられています。

肺癌と放射線治療

放射線治療は外科治療とほぼ同じ効果なので、外科治療に準じます。しかし、外科的な切除は、がんが胸の壁に達しているとできませんが、放射線治療は外科でできない範囲のがんの広がりでも治療できることがあります。また、外科的な切除は、そもそも手術に耐えられない人にはできません。こういう場合に放射線治療をすることもあります。小細胞癌と扁平上皮癌は放射線が効きやすいので、放射線治療の対象となっています。腺癌も手術が出来ない場合は治療の対象となります。ただし、胸水など、進展範囲が広い場合には残念ながら対象となりません。

放射線治療の効果

放射線療法の方法はがんのステージや種類によって最適なものが選択されて治療されることになります。この治療はある程度の期間続けて行うことが必要になる治療法です。専門的な施術も必要になるため、信頼できる医師のもとで経過をよく観察しながら治療を受けることが必要です。

放射線治療の方法

放射線治療について、まれに化学療法を混同して考えている方がいまして、全身への治療法だと考える方がいますが、放射線治療は手術による治療と同じように局所への治療法になります。放射線治療は、X線に代表されるような高エネルギーの放射線を使って、局所的にがんを殺す治療です。対外から照射するタイプと体内から照射する方法があり、体外照射は文字通り体の外から放射線を照射します。体内照射の場合には放射性物質を密封した針のようなものをがんの内部やがんの近くに刺してまさに局所的に直接がんに放射線を照射します。放射線の治療は主に原発巣に対して用いられますが、転移に対しての治療として使う場合もあります。

肺癌の放射線治療の効果

病巣が原発巣の中に留まっていて、病巣のさほど大きくないような早期の肺癌に対しては、放射線治療は大きな効果が期待できます。手術をして病巣を摘出するのと変わらないほどの効果を発揮できるともいわれています。しかし、放射線ははじめにも述べたとおり局所的な治療法ということになりますので、病巣が大きくなってしまうと放射線で治療をするのには限界があります。そのため、放射線の治療を行う場合には、放射線で対応できる早期のうちに処置を行うことが大切です。手術で胸開することを考えれば体への負担は少ない放射線治療ですが、この治療にも副作用はあります。放射線治療は転移箇所に行う場合には、肺から転移しやすい、例えば骨への転移であれば骨の融解をとめて痛みを緩和することに効果が期待できます。脳への転移であれば全脳照射を行う場合やガンマナイフを用いることもあります。脳は抗がん剤が届きづらく効果を発揮しづらい場所なのですが、射線治療ならな効果を期待することができます。

肺癌の放射線治療の副作用

放射線は局所的に照射をし、できるだけ病巣だけに照射をするようにしますが、それでも周囲の正常細胞にも放射線は照射されてしまいます。そのために起こる副作用には、微熱や、息切れ、食道炎、皮膚炎、咳などがあります。しかし、放射線の技術も近年では飛躍的に進歩しており、病巣へ可能な限り集中して放射線を照射することも可能になってきていることから副作用は軽減される方向へと進んでいます。これは画像診断の技術が進んだことも大きく影響しており、検査の段階で病巣をより正確に把握できるようになったことが大きな要因となっています。それでも副作用はゼロではありませんが、副作用への対処療法として薬を服用することなどで副作用の負担は最小限に抑えることもできます。

肺癌と咳

喫煙者や身近に喫煙者がいる人は気をつけて自分の体調の変化を見ていきましょう。私もそうでしたが、喫煙者であると見逃しがちな症状に気をつけましょう。例えば、咳が続いたり、血痰が出たり、微熱が続いたり、体重が減少したりという、肺癌の初期症状は肺気腫や肺結核などの重症な肺の病気の初期症状にもあてはまります。他の病気との鑑別のためにも咳が長引く時は早めに検査を受けて欲しいとおもいます。二週間以上続くときはまだ若いからと油断せず、早めの受診をお薦めします。日本人の肺癌による死者を増やしたのも煙草だと言われています。肺癌の初期症状は痰、胸の痛み、咳、発熱など風邪の症状によく似ています。ただの風邪だと思わず、これらの症状が長引くようなら、病院で検査しましょう。特に咳は、煙草を吸う人は何もなくてもよく咳こんでいます。煙草は肺癌のリスクを上げますので、特に咳には注意して欲しいと思います。

肺癌早期発見のために

どんな病気でもそうですが、早期発見は治療にとって最も大切です。では肺癌を早期発見するためにはどのような症状に注意すればよいのでしょうか?肺癌だけにかぎらずほとんどの癌は症状が出てからでは手遅れといわれます。ですから少しの症状でも見逃さないことが重要になってきます。日本人の死亡率の上位を占める癌、そのなかでも致死率の高い肺癌。肺癌のほとんどは若くて四十代、好発年齢が六十代ですが、なかには十代で肺癌で亡くなった方もいらっしゃいます。そんな肺癌から身を守るためには、早期発見による早期治療がもっとも効果的です。